2019年のクリスマスを前に
クリスマス直前にこんな投稿をすると、心身をやられているのではと思われるかもしれないが、毎年この季節になると「もしも自分が生まれてこなかったら?」というのを考える。
「あ、これはちょっと危ない」と思ったあなた、たしかに夜の23時である。最近の独身男は何をしでかすか分からない。けれどそうじゃないんだ、もう少し聞いてほしい。1946年にアカデミー賞にもノミネートされた「素晴らしきかな人生」(It’s a wonderful life)というモノクロの映画があ「るんだ。
映画「素晴らしきかな人生」
あらすじを言ってしまうと、運がいいとは言えない人生を前向きに乗り越えてきたジョージという男が、いろいろな夢を犠牲にして、田舎に残って実家の住宅ローン組合を継ぐのだが、ある年のクリスマスの夜に、ふとした身内のミスから預金を失ってしまい、最後に残された手段は自分の保険金しかなく、すべてに絶望して橋から雪降る川に身を投げようとする。
実はこの時、神さまが天から一部始終を見ていて、さすがに気の毒に思って天使(と名乗るおっさん)を地上に遣わす。ある方法を使ってジョージの自殺をとめるのだが、生まれてこなければよかったんだ(I suppose it’d been better if I’d never been born)と自暴自棄になる本人を、天使が「ジョージの生まれなかった世界」に案内する。
ここまで書けば、だいたいのオチは分かるだろうから、わざわざラストまで言及しないけど、上映130分のうち残り15分の展開が、とにかく神がかっている。Back to the Futureパート2に登場する、変わり果てた現代のシーンなども、この映画のオマージュだったとロバート・ゼメキス監督がDVDボックスのボーナストラックで打ち明けていたりする。
自分が生まれてこなかったら?
ラストシーンで流れるのが讃美歌「天には栄え」(Herk the Herald)で、Apple Musicなどでこの曲を探して聴くと、ちょっと涙目になる。同時に「自分が生まれてこなかったら?」の世界を、怖さ半分で見てみたくなる。
まったくの蛇足だが、高2ぐらいのクリスマスの夜に、横浜の女子校生とメールをやりとりして「●●(母校)の人って女の子の気持ち、分かってないよね」と言われ「これだからうちの学校は…」とクレームとして受け止めたのだが、最近になってようやく、あれは自分のことを言われていたのかもしれないと理解するようになった。
そのまま大きくなってしまい、社会人以降も、まあロクなクリスマスを過ごしておらず、殺人事件の現場にいた年もあるし、付き合っていた人にプレゼント受け取りを拒否された年や、自分の質問のせいでスポーツ選手を泣かせてしまった年もある。
君はたくさんの人を幸せにしてきた(Each man’s life touches so many other lives)というセリフが出てくるのだけど、毎回見終えたあとに「自分と関わらなければ幸せだった人もいるのでは」などと考えさせられるのが、この映画の厳しさで、日頃の振る舞いをいろいろ反省したくなる。とは言いつつ、年末はいろんなところで酔っぱらって、迷惑をかけることでしょう。






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