東京五輪開会式の国旗入場で流れた大河ドラマ「八重の桜」のサントラ曲「輝かしい未来へのエール」の意味を考える

国立競技場

いろいろな感想を目にするけれど…

戊辰戦争・会津の戦いで新島八重が立てこもった鶴ヶ城/福島県会津若松市

 東京五輪の開会式、すでにいろいろな人が感想を書いているけど、総論とは別に1つ気になってあまり触れられていないのが、国旗入場に使われた、2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」のサントラ。Twitterのハッシュタグをリアルタイムで追っていて「これは葬式なのか?」という国内外のコメントも見かけた。

 中島ノブユキさん作曲の「輝かしい未来へのエール」という、たしかにどこか悲しい雰囲気の曲で、ドラマでは鶴ヶ城(若松城)が落ちたシーンや、新島八重が晩年に戦場跡を訪ねて涙を流しながら地面を手でさするシーンで流れたように覚えているけど、演出者がどれぐらい練って選んだのか気になった。単純にいい曲だから使ったのかもしれないけど。

ドラマの描写とつながる演出なのだろうか?

白虎隊が自刃した飯盛山から鶴ヶ城を望む/福島県会津若松市

 鶴ヶ城が落ちたシーンは戊辰戦争のハイライトで、新政府の振り上げた拳を受ける形で、会津藩は「朝敵」として討たれ、藩士は散り散りになるわけだけど、描かれた時代から約150年後の現代に、天皇が座る貴賓席の前を、この曲とともに日の丸が進んでいく。そこにどんな意味を見出せばいいのか?


 あるいは、多くの命が失われた戦場跡の地面をさするシーンと重ねるなら、震災やパンデミックで亡くなった人々を悼むような意味も見出せるのか。実際、このシーンの後には新型コロナウイルスで亡くなった方々やミュンヘン五輪で亡くなったユダヤ人に黙とうをささげる場面もあった。そんな掘り下げ方をすると、「復興五輪」や「コロナに打ち勝つ五輪」もこの曲とリンクするような気もするのだけど、開幕直前の組織委員会内のゴタゴタを見るに、そこまで計算されているように思えず、もやもや…。