大学祭に来ると焦る。どうしてだろうか

 学祭にくると「焦る」のだ。それがなぜなのか、自分でも長年分からなかったのだけど、もしかすると、自分の過ごした大学生活は正解だったのだろうか?と悩むからではないかと。

 ある棟の展示を見ても、猫、ぷよぷよ、世界旅行、ベトナム、鉄道模型…と、自分の好きなことに没頭するさまざまな人々がいる。さすがに大学に入ってまでぷよぷよをする気にならないが、自分が10年前に選ばなかった、ほかの「選択肢」を見せられているような気がしてならない。

 この大学は、そういうユニークな人々が寄り集まって成り立っている。学生会館(ガッカン)では、フラダンスの音楽が聞こえてくるかと思えば、廊下ではハトを出す練習を真剣にしている手品師がいたりする。楽しそうにしているからこそ、芝が青く見えるというか「やればよかったのでは」と悩む。

 もちろん、当時の自分には後悔してないし、たくさんの人々に出会えて、本当に楽しかったと思っている。それでもあの時、もし別のサークルの、別の先輩に呼び止められていたら、別の学科の、別のゼミに入っていたら、自分は今ごろ何者になっていただろうか?というのが気になる。

 少し考えてみて、やはり、別の何者かになっているもう一人の自分は想像できない。針に糸を通すような偶然が重なって感じる「縁」とは、こういうものなのかもしれない。いずれにしても、年に一度いだくこの不思議な感情とどう向き合えばいいのか、いまだよく分からないでいる

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